日本胸部疾患学会雑誌
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肺線維症を伴い, 肺胞内出血を伴うカンジダ肺炎で死亡した顕微鏡的多発性血管炎の1例
岸川 博文戸島 洋一徳留 隆博
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1997 年 35 巻 8 号 p. 915-920

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抄録

症例は74歳, 男性. 下肢の浮腫, 発熱, 倦怠感を主症状とし, 蛋白尿, 血尿, 白血球および血小板の増多, 貧血, 炎症反応の亢進があり, MPO-ANCAが高値であったため, microscopic PN を疑いステロイド治療を行ったところ症状は改善した. 治療後の腎生検では一部の糸球体に線維性半月体を認め壊死性糸球体腎炎の瘢痕性変化の所見であった. また両肺底に慢性間質性肺炎の像を呈していた. 退院約半年後に意識レベル低下, 栄養障害, 低Na血症のため再入院, 右肺に浸潤影が出現, 急速な呼吸不全の進行により第5病日に死亡された. 剖検で右肺は著明な肺胞内出血を伴うカンジダ肺炎であり, これが直接死因と考えられた. また両下葉に峰窩肺を呈する肺線維症, 下葉の一部の小動脈に細胞性血管炎, 腎および肝に瘢痕性血管炎を認めた. 本例は慢性間質性肺炎を伴う microscopic polyangiitis であけ, ステロイドにより血管炎の活動性は抑えられていたが日和見感染症に肺胞内出血を伴い死亡したと考えられる.

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