抄録
MR画像を構成する因子は数多くある.それぞれが画質を左右する因子として存在するわけであるが, 相反する因子が多く画質を向上させようとすると, 反作用的に悪い要素が顔を出してくることがよくある.最近の装置性能の向上により, ひとつひとつ因子が取り除かれようとしているが, どうしてもすべてを除くことができないのが現状である.臨床では, アーチファクトとの共存を寛容的に受け止め, 診断において実像と虚像との判読を誤らないようにするとともに, アーチファクトの成因を理解することにより, その影響が最も少なくなるようにパラメータを選択しなければならない.今後, さらにハードウェア, ソフトウェアの発達により画質は向上し, アーチファクトは軽減されるであろうが, 因子もさらに複雑になることも考えられる.より診断価置の高い画像を提供しなければならない我々にとって, MRIの撮像技術とは使用装置が最大限の性能を発揮するように駆使することだといえる.このように最善の努力が施されてこそ, アーチファクトが低減され, より高品質な画像が提供されるものと思う.