日本放射線技術学会雑誌
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頭部CT画像を用いた側頭葉内側部の自動計測法の開発
服部 真澄小山 修司
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2004 年 60 巻 7 号 p. 993-999

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抄録

老年期・初老期に起きる痴呆性疾患において,以前は脳血管性痴呆が最も多く過半数を占めると考えられていた.しかし,最近ではAlzheimer型痴呆(以下,ATD)が最も多く痴呆全体の半数前後を占める.脳血管性痴呆は20数%程度であり,Lewy小体型痴呆を中心とする非Alzheimer型変性痴呆が20%程度を占めるといわれている.一方,ATDの治療薬として発売されたdonepezil(Arisept)は痴呆進行の遅延化に効果があり,ATDの早期発見が大変重要となった.ATDは記憶障害が中核症状であり,その記憶をつかさどる海馬の萎縮が高度に生じることによって起こる.そのため海馬およびその周辺の萎縮の定量評価が有用とされている.しかし,数多くの研究が行われているにもかかわらず,日常臨床で容易に利用できる方法があるとはいいがたい^<1〜8)>.側頭葉内側の体積評価には,海馬を直接計測する方法と側脳室下角を計測することにより間接的に評価する方法がある.後者の下角計測はcomputed tomography(以下,CT)または,magnetic resonance imaging(以下,MRI)の1〜2枚の断層画像を用いることによって容易に行える.この計測はATDを診断するうえで十分精度が高く,病勢の進行度とも相関があるとの報告があり,臨床的に有用性が高い^<1,9〜14)>.そして,側頭葉内側部の一次元計測と側脳室下角面積計測に関する臨床的有用性について述べられた報告はあるが,われわれが調べた範囲内で自動計測に関する報告はない.本論文では,臨床で最も普及しているCT画像を用いて,側頭葉内側部の一次元計測と側脳室下角面積を自動計測するアルゴリズムを開発し,手動計測と比較した.

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© 2004 公益社団法人 日本放射線技術学会
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