日本放射線技術学会雑誌
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原著
診療放射線技師の個人的背景に基づいた原子力災害への人材育成研修プログラム最適化の提案—福島第一原子力発電所事故の経験を生かして—
大葉 隆 真船 浩一菅野 修一長谷川 有史
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2022 年 78 巻 11 号 p. 1282-1294

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抄録

【目的】本研究は診療放射線技師(放射線技師)のための原子力災害の人材育成研修プログラム最適化に必要な情報を福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえて提供することである.【方法】福島県内の放射線技師を対象として郵送によるアンケート調査により330名(有効回答率:56.5%)の回答を得た.解析項目は,原子力災害対応の1) 「事前学習が必要な技術(4項目)」と2)「基礎知識(4項目)」に対する対象者の属性や原子力災害の経験と研修受講歴との関連性とした.【結果】1)について,空間放射線量測定や体表面汚染測定は対象者の勤務先病床数と有意に関連していた.また,被ばく相談は対象者の原子力災害の経験や研修受講歴の有無と有意に関連していた.2)について,内部被ばくに関する知識は事故当時就業年数や原子力災害経験の有無と有意に関連していた.【結語】本研究結果を考慮することで,放射線技師の背景に合わせた最適な研修プログラムの提供が可能と考える.

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© 2022 公益社団法人日本放射線技術学会
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