2023 年 79 巻 1 号 p. 17-24
【目的】Scheffé法は対比較の差を間隔尺度の平均嗜好度で得られ,観察画像に制約がなく対比する試料の優劣を統計的有意差検定で判断できる.しかし,Scheffé法は画質の単一指標として判断できない.そこで,Scheffé法の平均嗜好度と画像を構成する物理量を関連付けて評価できる方法を検討した.【方法】本研究は,Scheffé法の平均嗜好度が間隔尺度の量的データで,重回帰分析が可能なところに着目した.重回帰分析は,撮影線量を変えて模擬肺腺がんを撮影して得られた平均嗜好度を目的変数,撮影線量とノイズ(standard deviation: SD)を説明変数とした.Scheffé法は中屋の変法を用いた.【結果】重回帰分析で,SDはP=0.027で有意差を認めた.重回帰式(予測モデル)に,撮影線量とSDの交点のしきい値を代入し,平均嗜好度(Ŷ)を算出した.Ŷ(Scheffé;Gy,SD)は−0.147で,約1/2撮影線量(−0.150)だった.【結語】Scheffé(平均嗜好度)と物理因子(撮影線量とSD)との重回帰分析で,適正な画質を維持しながら撮影線量の低減も図れる画像デザインが可能となった.