日本放射線技術学会雑誌
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79 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
巻頭言
新春座談会
原著
  • 望月 安雄
    2023 年 79 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/12/22
    ジャーナル フリー

    【目的】Scheffé法は対比較の差を間隔尺度の平均嗜好度で得られ,観察画像に制約がなく対比する試料の優劣を統計的有意差検定で判断できる.しかし,Scheffé法は画質の単一指標として判断できない.そこで,Scheffé法の平均嗜好度と画像を構成する物理量を関連付けて評価できる方法を検討した.【方法】本研究は,Scheffé法の平均嗜好度が間隔尺度の量的データで,重回帰分析が可能なところに着目した.重回帰分析は,撮影線量を変えて模擬肺腺がんを撮影して得られた平均嗜好度を目的変数,撮影線量とノイズ(standard deviation: SD)を説明変数とした.Scheffé法は中屋の変法を用いた.【結果】重回帰分析で,SDはP=0.027で有意差を認めた.重回帰式(予測モデル)に,撮影線量とSDの交点のしきい値を代入し,平均嗜好度()を算出した.(Scheffé;Gy,SDは−0.147で,約1/2撮影線量(−0.150)だった.【結語】Scheffé(平均嗜好度)と物理因子(撮影線量とSD)との重回帰分析で,適正な画質を維持しながら撮影線量の低減も図れる画像デザインが可能となった.

  • 安本 佳章, 大﨑 洋充, 中原 理紀, 伊東 良一, 藤田 功
    2023 年 79 巻 1 号 p. 25-37
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/12/24
    ジャーナル フリー

    【目的】123I-metaiodobenzylguanidine(MIBG)を用いた神経変性疾患の鑑別において,心筋のstandardized uptake value(SUV)を算出する方法を考案し,その精度について報告する.【方法】MIBGの正常集積を模した心臓肝臓ファントムのsingle photon emission computed tomography-computed tomography(SPECT-CT)画像から心筋部分の17セグメントpolar mapを作成し,定量値の再現性や正確性等に優れた至適画像再構成条件を決定した.その条件における心筋SUVのリカバリー係数および再現性を従来のH/M比と比較した.また,8例の健常例から心筋SUVを算出しH/M比と比較した.【結果】Ordered subset expectation maximization(OSEM)法のsubsetが10, iterationが10, Gaussian filterのfull width at half maximum(FWHM)が4 pixelsのときの画像再構成条件を至適画像再構成条件とした.Maximum SUVmax(MaxSUVmax),Average SUVmax(AveSUVmax),H/M比のリカバリー係数はそれぞれ36.5%, 33.6%, 15.0%となり,再現性はそれぞれ4.99%, 4.84%, 1.50%となった.臨床例におけるMaxSUVmaxは平均で8.27, AveSUVmaxは平均で7.58であった.【結語】心筋SUVはH/M比に比して理論値にわずかに近い定量値が得られることが明らかとなった.至適画像再構成条件を用いることで,精度よく定量評価が可能である.

臨床技術
  • 松本 博樹, 竹井 泰孝, 松田 英治, 舛田 隆則
    2023 年 79 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/24
    ジャーナル フリー

    ポータブルX線撮影では診療放射線技師の眼の水晶体が患者またはX線管に近くなる位置で撮影介助を行うことが多く,高い水晶体被ばくを受けていることが予測される.本論文ではポータブルX線撮影時に診療放射線技師が受ける水晶体等価線量の実態を明らかにし,放射線防護ゴーグルや追加の放射線防護策の必要性を検討した.個人線量計と小型光刺激ルミネセンス線量計を貼付した放射線防護ゴーグルを用い,ポータブルX線撮影時に診療放射線技師が受ける水晶体線量の測定を行った.当院のポータブルX線撮影で診療放射線技師が受ける水晶体等価線量の最大値は1カ月あたり0.3 mSvとなり,水晶体等価線量限度以下であることが確認された.しかし,ポータブルX線撮影時の放射線防護ゴーグルの被ばく低減効果は約45%であり,介助件数の増加により,水晶体等価線量の増加も懸念されるため,放射線防護ゴーグルを着用しての業務が望ましい.

  • 飯塚 崇文, 源 貴裕, 名定 敏也, 酒井 敏行, 石田 敏久, 若山 司, 琴浦 規子, 冨士原 将之, 鈴木 公美, 前田 哲司, 西 ...
    2023 年 79 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/22
    ジャーナル フリー

    放射線治療における日々の照射業務を安全に行うには患者ごとの情報確認が必須であるが,その内容は多岐にわたり,情報登録作業も増加している.本研究の目的は,放射線治療業務支援システムとスマートフォンを連携することにより放射線治療業務を円滑に行うシステムを構築することである.放射線治療業務支援システムにスマートフォンを連携することでPC,端末を使用せずに固定具の入力やスマートフォンで撮影した画像に手元でテキスト入力ができ,直接放射線治療業務支援システムの患者情報に貼付することができた.放射線治療業務支援システムとスマートフォンの同期を行うことで照射室内でも患者情報を確認することが可能となった.アンケート調査では,電波受信状況,操作性,視認性,バーコード読み込みにおいて高い評価を得た.本研究により,放射線治療業務支援システムにスマートフォンを連携することで患者情報確認および登録作業を手元で行うことができ,放射線治療業務を円滑に行うシステムを構築することができた.

  • 真野 忍
    2023 年 79 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/12/23
    ジャーナル フリー

    脳腫瘍術前検査において,歪みの少ない正確な解剖学的情報を取得することは重要である.磁化率アーチファクトの影響の少ないultrashort echo time(UTE)シーケンスであるPETRAを用い,inversion recovery(IR)法を併用したIR-PETRAのradial views(RV)およびinversion time(TI)の至適撮像条件を求め,MPRAGEとの比較を行った.その結果,IR-PETRAは至適条件下(RV=100,000, TI=500 ms)において,鮮鋭性はMPRAGEに若干劣るものの,高いRV値を用いることで大幅に改善し,SNRやCNRは同等以上となる結果となった.脳腫瘍術前検査においてIR-PETRAはMPRAGEの代替シーケンスになり得ることが示唆された.

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