日本臨床外科学会雑誌
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症例
欠損部被覆・ドレナージチューブ留置に肝円索を利用した胆嚢総肝管瘻合併Mirizzi症候群の1例
草野 真暢井上 玲田本 英司中久保 善敬奥芝 知郎川村 健
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2007 年 68 巻 3 号 p. 665-670

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抄録

症例は76歳, 男性. 黄疸で発症し入院したがその約1年前より心窩部痛を自覚していた. 腹部CTにて, 胆嚢内結石と肝内胆管および総肝管の拡張を認め, 結石が胆嚢頸部に嵌頓し総肝管の右壁を圧排していた. 内視鏡的逆行性胆道ドレナージにより減黄したものの, その後胆管炎を併発したため, 内視鏡的経鼻胆道ドレナージに変更した. 手術では, 胆嚢を切開した上で頸部に嵌頓した結石を除去し, 胆嚢総肝管瘻合併Mirizzi症候群であることを確認した上で, 胆嚢摘出を行い, 総肝管の欠損部周囲を肝円索の一部を用いて被覆し, 肝円索内を通して総肝管ドレナージチューブを留置した. 術後50日目にドレナージチューブを抜去し, その後も肝障害はなく, 術後69日目に退院した. 胆嚢総肝管瘻を合併したMirizzi症候群の手術では, 術中所見に応じて総肝管ドレナージの方法を選択する必要がある.

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© 2007 日本臨床外科学会
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