抄録
われわれは外科手術に対応する電子入力用のテンプレートを作成し, 診療録記載とデータベース作成を一期的に行っている. これを利用した継続的なsurgical site infection (SSI) サーベイランスの有用性につき検討する. 対象 : 2001年1月から2006年6月まで, 当科で施行された腹腔鏡下大腸切除術の待機手術症例611例. 方法 : 当院では各部署に院内local area network (LAN) の端末が設置されているが, ペーパーレスの電子カルテは導入されていない. FileMaker Pro 7.0を用い, すべての端末からサーバーにアクセス可能とした. 術前評価, 手術記録等の診療録用レイアウトを作成し, 選択型式で簡単に入力できるようにした. 診療録記載とデータベースへの入力を可能な限り一元化した. 癌取扱い規約等の一般的な項目に加え, surgical site infection (SSI) に関連する項目を盛り込んだ. 結果 : 腹腔鏡下大腸手術の件数の増加に伴い, 2003年頃より創感染等SSIの発生率が上昇した. SSIおよび創感染の発生率はサーベイランス開始後に有意な低下を認めた. 多変量解析の結果, SSI, 創感染発生の両者でSSIサーベイランスの開始時期が独立した有意な関連因子として抽出された. 結語 : 電子記載に基づくSSIサーベイランスが有用であることが示唆された.