2007 年 68 巻 7 号 p. 1680-1684
症例は54歳, 女性. 義歯を誤飲し当院受診. 上部消化管内視鏡検査を施行, 胃前庭部に有鈎義歯を認めた. 内視鏡的摘出を試みたが抵抗あり, 下部食道に数mmの穿孔を生じた. 縦隔炎を発症し保存的治療を開始したが縦隔膿瘍となり開腹にて胃内異物除去・食道穿孔部縫合閉鎖・大網充填・縦隔・胸腔ドレナージ術を施行した. 術後高熱, 炎症反応高値が続き食道の縫合不全を併発しドレナージに長期間を要した. 治療に難渋したが保存的治療にて軽快し, 退院となった. 今回の症例をふまえ, 消化管異物とりわけ有鈎義歯の適切な治療方針について文献的考察を加え報告する.