抄録
われわれは食道胃接合部小彎に食道から胃にかかるZeifer分類III型の粘膜裂創と胃破裂を伴うMallory-Weiss症候群 (以下M-W症候群) を経験した. 症例は84歳, 男性で, 誘因は高位胃潰瘍の出血による吐血と考えられた.
M-W症候群の裂創はほとんどが胃固有筋層までにとどまり, 漿膜以上に達することが少ないため特発性食道破裂と鑑別を要するが, 本症例は, (1) Zeifer分類III型の粘膜裂創を伴い, (2) CT画像上, 破裂は食道・胃接合部胃側小彎側であること, (3) CTで気腫像が下部後縦隔より後腹膜に多くみられたことから, M-W症候群に伴う胃破裂と診断した. 縦隔気腫の拡大や胸水の発生はなく, また炎症所見も少ないため保存的治療とした. 2週間余りで順調に軽快し, 退院可能となった. 特発性食道破裂に比べ経過は良好ではないかと思われた.