抄録
症例は69歳,男性.他院にて頸椎症の治療中に下血を認め,上部消化管内視鏡検査および生検を施行したところ,胃癌(高分化型管状腺癌)と診断され手術目的にて当科を紹介された.上部消化管内視鏡検査で胃体上部前壁小彎寄りに3型の病変を認めた.平成16年12月3日胃全摘術,脾摘術,胆摘術,D2郭清を施行した.切除標本の肉眼所見では,胃体上部前壁に平らな隆起性病変があり,その上に乗るように小彎側に軽度の隆起性病変を認めた.病理組織学的所見では,前者はsm中心に厚く広がる末梢神経の増生で,断端神経腫と診断した.後者はtub1,sm1,ly0,v0,n0(0/57)でU1IIscarを伴っていた.胃に関する報告としては,私どもの検索しえた限りでは,手術の既往のない症例および胃癌に発生した症例の報告はみられなかった.潰瘍瘢痕を伴う早期胃癌による神経損傷が原因と考えられる断端神経腫の1例を報告する.