日本臨床外科学会雑誌
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症例
食道に平滑筋肉腫と扁平上皮癌が併存した1例
澤井 利次上田 順彦戸川 保木村 俊久澤 敏治加藤 泰史
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2008 年 69 巻 2 号 p. 341-346

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抄録

食道平滑筋肉腫と扁平上皮癌が同時発生した極めて稀な症例を経験したので報告する.症例は60歳代,男性.嚥下時咽頭部の不快感を認め近医受診.食道腫瘍を指摘され精査目的に当科に紹介入院となった.上部消化管内視鏡検査では胸部上部食道に隆起性病変を認め,その肛門側に陥凹性病変を認めた.生検では,隆起性病変に異型細胞を認め,陥凹性病変に扁平上皮癌を認めた.食道内癌多発の診断で胸腔鏡下食道亜全摘術,3領域リンパ節郭清術を施行した.切除標本で,隆起性病変は平滑筋肉腫,陥凹性病変は食道癌と診断された.食道亜全摘術1年後に,右肺上葉に平滑筋肉腫の転移を認め,右肺上葉切除術施行.肺切除後6カ月経過した現在,再発の徴候は認めていない.平滑筋肉腫は比較的稀な食道腫瘍であり,さらに扁平上皮癌との同時発生症例は極めて稀であり報告した.

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© 2008 日本臨床外科学会
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