日本臨床外科学会雑誌
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症例
蛋白漏出性胃癌の1例
飯田 通久吉野 茂文上野 富雄坂本 和彦岡 正朗
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2008 年 69 巻 2 号 p. 370-374

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抄録

症例は86歳,男性.下腿浮腫を近医で指摘され,当院受診した.血液検査で血清総蛋白3.5g/dl,アルブミン1.6g/dlと低蛋白血症を認めた.上部消化管造影検査,内視鏡検査で胃体部から前庭部に巨大な5型腫瘍を認めた.99mTc-human serum albuminを用いたシンチグラフィーにて胃前庭部に一致する部位に放射活性の集積が描出されたため,蛋白漏出性胃癌の診断にて胃全摘術を施行した.腫瘍は4型部分と1型部分から構成される5型で,4型部分は低分化腺癌,1型部分は乳頭管状腺癌が認められた.病理診断はpT3,pN2,H0,P0,CY1で根治度はCであった.術後,比較的速やかに低蛋白血漿は改善したが,術後12カ月目に腫瘍死した.蛋白漏出性胃癌の1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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