抄録
症例は83歳の女性.突然の吐血を主訴に当科紹介となった.腹部造影CTにて膵頭部に血腫および内部に動脈瘤を認めた.血管造影検査にて膵十二指腸動脈瘤破裂と診断された.腹腔動脈領域はすべて上腸間膜動脈より膵頭部動脈アーケードを介して造影された.動脈塞栓術ではcoiling困難であったため,緊急開腹手術を施行した.正中弓状靱帯によって腹腔動脈起始部が顕著に圧迫されており,腹腔動脈起始部圧迫症候群(CACS)と診断した.正中弓状靱帯を切離することにより腹腔動脈の血流が再開し,求肝性に保持可能であったため,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)を施行した.術後経過は良好であった.腹腔動脈起始部に狭窄を伴う膵頭部動脈瘤破裂症例においては,CACSの可能性を念頭に置くことと,肝動脈血流量を測定しながら膵頭切除等の手術操作を進めることが重要であると考えられた.