抄録
症例は74歳,女性.平成10年9月にスクリーニングで施行した上部消化管内視鏡検査で胃体中部大彎に広範囲の腺腫を指摘された.癌病変の併存も考慮し平成11年4月に診断的EMRを施行したが病理組織は胃腺腫であった.その後は1年に一回程度の内視鏡検査にてフォローしたが,平成17年5月まで生検はいずれもGroup IIIであった.平成19年1月,胆嚢炎で入院時に内視鏡検査を施行したところ腫瘍は著明に増大しており,生検でもPapillary adenocarcinomaであったため胃全摘術,リンパ節郭清,胆嚢摘出術を施行した.胃病変は肉眼的には明らかな隆起を有する1型腫瘍であるにもかかわらず,病理組織診断では深達度Mで脈管侵襲やリンパ節転移は認めなかった.
近年,胃腺腫の癌化危険因子について様々な知見が得られている.悪性度の高い腺腫については,積極的に内視鏡的切除を試みる必要があると思われた.