日本臨床外科学会雑誌
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症例
排便時の怒責により腹腔内出血をきたしたS状結腸裂傷の1例
福田 賢一郎木ノ下 修永田 啓明古谷 晃伸中島 晋増山 守
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キーワード: 腹腔内出血, 宿便, 腸管裂傷
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2008 年 69 巻 3 号 p. 590-593

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抄録
今回われわれは,排便時の怒責が原因でS状結腸裂傷をきたし,腹腔内出血を合併した1例を経験したので報告する.症例は77歳の男性で,排便直後から急に出現した下腹部痛を主訴に受診した.下腹部中心に圧痛と反張痛を認めた.腹部造影CT検査では腹水の貯留を認め,S状結腸には多量の便塊を認めた.S状結腸周囲にairを認めたが,腸管内gas像とfree airとの鑑別は困難であった.大腸穿孔による腹膜炎の疑いで緊急手術したところ,腹腔内に約400ccの出血を認め,便塊により著明に拡張したS状結腸の漿膜が結腸紐に沿って4cmにわたり裂けていたが穿孔は認めなかった.明らかな腫瘍性病変による狭窄は認めなかった.病理組織所見では虚血性腸炎の所見で,漿膜から筋層にわたり断裂していた.これらより宿便によって慢性的に虚血性変化をきたしていたS状結腸が排便時の怒責によって漿膜・筋層が裂け,腹腔内出血をきたしたと推察された.
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© 2008 日本臨床外科学会
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