2007 年 46 巻 5 号 p. 251-255
目的 : 子宮がん検診で異常細胞がみられた症例の転帰を調査し, 現行のクラス分類や経過観察の問題点を検討する.
対象と方法 : 1995~1999年の福島県の子宮がん検診で要精検とされたものの経過を調査し, 初回時と経過中の陽性反応的中率を比較した. また高度異形成以上の要治療群と異常細胞が消失した群で, 検査回数, 観察期間について比較検討した.
成績 : クラスIIIa 3372例中, 初回精検で103例, 経過中65例の要治療病変がみられ, 陽性反応的中率は3.1%から5.2%へと有意に上昇した. 2388例 (70.8%) は異常細胞が消失した. クラスIIIb 271例中, 初回で79例, 経過中28例の要治療病変がみられ, 的中率は29.2%から39.9%へと有意に上昇した. 74例 (27.3%) は異常細胞が消失した. 観察終了例では有意に観察期間が長く, 検査回数も多かった.
結論 : 要精検者を経過観察することにより, 要治療病変の発見率が有意に増加する. 一方, 多くの例では異常細胞が消失するが, 長期, 頻回の経過観察を要し効率が低下している. クラス分類による要精検者の一律な取扱いにかわり, 記述的診断で観察の簡略可能例と, 厳重な観察の必要な例への振り分けを考える必要がある.