抄録
GISTの予後不良因子に,腫瘍径,転移,臓器浸潤,腫瘍破裂,播種,不完全切除などがあげられる.われわれは穿孔,出血をきたした肝転移を伴う胃GISTの1例を経験したので報告する.症例は69歳,男性.2007年7月頃から心窩部不快感を自覚していたが,11月末に心窩部痛,コーヒー残渣様嘔吐を認め,当院に紹介された.腹部CTにて少量の腹腔内遊離ガス像,胃壁外に17cm大の腫瘍性病変,多発肝転移を認めた.胃内視鏡検査では穹窿部大彎の粘膜下腫瘍からの出血がみられた.胃粘膜下腫瘍による穿孔性腹膜炎と診断し,待機手術のために入院とした.入院12日目に大量吐血をきたしたため,左胃動脈上行枝の塞栓術を行った.一時的止血はできたが,再出血の危険もあり翌日胃全摘術を施行した.病理組織診断にて胃GISTと診断された.メシル酸イマチニブの内服を行っているが,術後13カ月経過した現在,肝転移巣の増大はみられていない.