日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸乳頭部神経内分泌細胞癌の1例
櫻井 克宣塚本 忠司清水 貞利金沢 景繁山下 好人西口 幸雄
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2010 年 71 巻 3 号 p. 712-717

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抄録

稀な十二指腸乳頭部神経内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳,女性.肝機能異常を指摘され当院を紹介受診した.腹部CT検査で膵頭部に1.5cm大の腫瘤と肝内胆管の拡張を認め,精査加療目的に入院となった.上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部の粘膜の不整を認めた.同部の生検組織の免疫染色でCD56,synaptophysin,chromogranin Aが陽性で,神経内分泌細胞由来と考えられた.リンパ節郭清を伴う幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織検査結果は十二指腸乳頭部の神経内分泌腫瘍で,Ki-67/MIB1指数は低く,リンパ節転移を認めたため高分化型神経内分泌癌と診断された.患者は術後1年4カ月の現在,無再発健存中である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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