抄録
症例は67歳,男性.2004年11月に胸部中部食道癌(Mt)および胃癌(U)にて,食道亜全摘,噴門側胃切除,2領域リンパ節郭清を行った.術後病理学的検査では食道癌は中分化型扁平上皮癌で深達度m3(MM),胃癌は高分化型腺癌で深達度m,リンパ節転移は縦隔,腹部ともに陰性であった.術後30カ月目,左腋窩リンパ節腫大が出現し,摘出生検にて低分化型扁平上皮癌が認められた.全身検索を行ったが明らかな原発巣は指摘できず,病変は左腋窩に限局していると考えて,左腋窩リンパ節郭清を施行した.術後は特に放射線療法や化学療法を施行せず経過をみているが,左腋窩リンパ節郭清から約30カ月(食道癌手術からは約60カ月)経過した現在も無再発生存中である.本症例は非常に稀ではあるが,早期食道癌の孤立性腋窩リンパ節転移の可能性が考えられた.