日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人胃軸捻転症の2例
河口 賀彦河野 浩二三井 文彦藤井 秀樹
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2010 年 71 巻 6 号 p. 1471-1476

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抄録

症例1は79歳,男性.CTで胃軸捻転症と診断し,減圧目的に胃管を挿入した.上部消化管内視鏡で胃粘膜の血流障害を認めたため,緊急手術を施行した.胃は腸間膜軸方向に捻転しており,胃全摘術を施行した.症例2は79歳の女性.CTで胃軸捻転症と診断し,減圧目的に胃管を挿入した.上部消化管内視鏡で胃粘膜の虚血性変化は認めなかったが,整復困難であったため,緊急手術を施行した.食道裂孔ヘルニア内に胃の前庭部が捻転を伴い,嵌頓していた.用手的に胃を還納し,捻転を解除した.一般に胃軸捻転症は,CT検査でその診断はほぼ可能である.治療は,胃管を挿入し減圧を図った後,上部消化管内視鏡を実施し,胃粘膜の観察と捻転の解除を試みる.捻転が解除できない場合や,粘膜の血流不全が認められる場合は緊急手術を施行する.胃軸捻転症は比較的まれな疾患であるが,上記の治療アルゴリズムにより,その診断,治療は適切に実施できると思われた.

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