抄録
症例は57歳,女性.心窩部痛,嘔吐のために当院を受診した.腹部CTにて腹部大動脈と上腸間膜動脈の間で十二指腸が圧迫され,その口側の胃と十二指腸が著明に拡張していたため,上腸間膜動脈症候群と診断された.保存的治療のため入退院を繰り返した.3度目の入院で中心静脈栄養管理による保存的治療が行われたが,約1カ月を経過しても経口摂取が困難であった.保存的治療に抵抗する症例と考え腹腔鏡下十二指腸空腸吻合術を施行した.上腸間膜動脈症候群は比較的まれな疾患で,保存的治療が第一選択である.保存的治療で改善がみられない症例に対しては外科的治療が考慮される.本疾患に対する外科的治療には種々の術式が報告されているが,われわれは腹腔鏡下に十二指腸空腸吻合術を行い良好な結果が得られた.本術式は手技が簡便で,最も低侵襲な手術と考えられたので報告する.