日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後8年目の肝転移を切除した空腸GISTの1例
片橋 一人鈴木 昌八神藤 修落合 秀人谷岡 書彦北村 宏
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キーワード: GIST, 空腸, 肝転移
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2012 年 73 巻 2 号 p. 369-374

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抄録

症例は78歳,女性.2001年11月に径7cmの嚢胞性空腸腫瘍に対し,空腸部分切除による腫瘍摘出術を施行した.腫瘍内容は褐色血性であり,嚢胞壁には充実成分を認めた.免疫組織化学染色と核分裂像の結果から,病理組織学的に,中リスクのGISTと診断された.
2009年4月の腹部CT検査で肝S8に2個の小嚢胞性病変の出現をみた.2010年8月には腫瘍径の増大とともに嚢胞性腫瘍周囲に造影効果を認め,空腸GISTの肝転移と診断した.原発巣切除後8年以上経過後に肝S8部分切除術を施行した.嚢胞性腫瘍の壁の一部に充実性成分が確認でき,空腸GISTと一致する病理組織像を呈していたため,最終的にGIST肝転移と診断された.GIST切除後の遠隔期に肝転移が顕在化する場合があり,長期にわたり経過観察を行う必要性が示唆された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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