2012 年 73 巻 2 号 p. 460-465
ACTH非依存性大結節性副腎皮質過形成(ACTH-independent macronodular adrenocortical hyperplasia : AIMAH)に対し片側副腎摘除にて良好な経過を得た2例を報告する.症例1は51歳男性,治療抵抗性の高血圧精査にてAIMAHと診断.プレクリニカルクッシング症候群(PC)を伴っており,腹腔鏡下右副腎摘除術を施行した.症例2は61歳女性,40歳より高血圧に対し投薬されていたが偶然両側副腎腫大を認め,PCを伴うAIMAHと診断,腹腔鏡下右側副腎摘除術を施行した.術後2症例とも血圧は安定,ACTH,Cortisolも正常化した.従来AIMAHの治療は両側副腎全摘除であったが,生涯ステロイド補充を要した.自験例を含め片側摘除報告例では,両側全摘の欠点を補う安全性と妥当性が示されており,片側摘除はAIMAHに対する標準術式となり得るものと考えられた.