日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術後15年を経て発症した胆管クリップ結石の1例
中村 祥子原 隆志後藤 剛
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2012 年 73 巻 3 号 p. 659-662

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抄録

症例は72歳,女性.1993年胆嚢内結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)が施行された.術後は著変なく順調に経過していたが術後15年経過した2008年,高血圧症に対する定期検査にて総ビリルビンの軽度高値を認めたため精査目的に入院となった.腹部超音波検査にて総胆管の拡張と胆管結石を認め,腹部造影CTでは同様に総胆管の拡張と金属クリップが胆管壁を貫いて結石の中央部に刺さる様に認められ,クリップ迷入による総胆管結石症と診断,総胆管切開切石+T-tubeドレナージ術を施行した.LCの普及に伴い胆管クリップ結石の報告が散見されるようになった.金属クリップを使用した場合には本例のように術後長期経過からの発症も稀ではあるがみられるため十分注意を払う必要がある.また,近年ではクリップによる合併症を防ぐために様々なデバイスが開発されており,可能であればこれらを利用したクリップレス手術が望ましいと考えた.

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