抄録
症例は85歳,男性.閉塞性黄疸を契機に下部胆管癌と診断され,手術目的に当院に紹介となった.術前の腹部CT検査所見では総肝動脈が上腸間膜動脈から分岐する肝腸間膜動脈幹の変異があり,総肝動脈は膵頭部実質内を走行していた.腫瘍と総肝動脈とは離れており,総肝動脈を温存しても根治性は保たれると判断し,膵実質から動脈を剥離,温存しながら膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的には腺内分泌細胞癌であった.肝動脈の変異は多く,膵頭部領域の手術の際には,手術の根治性と肝血流の維持を考慮しなければならない.術前画像検査で解剖を詳細に把握することが,手術を安全に施行し,術後合併症を予防する上で重要であると考えられた.