日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
肝門部胆管癌に対する肝切除兼肝十二指腸間膜一括切除
大塚 新平磯谷 正敏原田 徹金岡 祐次亀井 桂太郎前田 敦行
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2012 年 73 巻 7 号 p. 1622-1628

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抄録

肝門部胆管癌の4例に対して肝切除兼肝十二指腸間膜一括切除(Hepatoligamentectomy)を施行したので,血行再建を中心とした手術手技を提示するとともに手術成績を報告する.
門脈は6-0 polypropyleneによる1点支持連続縫合で右外腸骨静脈グラフト再建.肝動脈は吻合口をヘラ状に形成した後に7-0 polypropyleneによるパラシュート吻合(連続縫合)で施行した.門脈平均再建時間23分,肝動脈平均再建時間23分で平均手術時間8時間52分,平均出血量1,240mlであった.術後合併症は高ビリルビン血症(T-Bil 7.1mg/dl)を1例,再開腹を必要とする術後出血を1例に認めたが,全例元気に退院可能であった.予後は,2例は術後2年3カ月,2年1カ月で癌死,他の2例は術後4年4カ月,1年3カ月各生存中である.再建血管は全例で開存しており,本術式は安全に施行可能と考えられる.

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© 2012 日本臨床外科学会
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