2012 年 73 巻 9 号 p. 2200-2204
症例は50歳,女性.右乳房腫瘤を自覚し当院受診.右乳房C領域に3cm大の可動性良好な腫瘤を触知した.マンモグラフィでは境界明瞭平滑な楕円形の等濃度腫瘤影を認め,超音波検査でも境界明瞭平滑,内部エコー均一な楕円形の低エコー腫瘤を認めた.CT検査では限局した境界明瞭な造影される腫瘤を認めた.針生検ではごく一部に線維肉腫の像が認められ,CD34陽性の紡錐形細胞の増殖が主体であり,隆起性皮膚線維肉腫と診断した.腫瘍直上の皮膚および直下の胸筋を含めた右乳房部分切除術を施行した.摘出標本の病理組織学的検索でも針生検組織と同様な組織像であったが,CD34陽性の範囲は狭くα-SMA陽性であったことから,粘液線維肉腫と診断した.乳腺原発粘液線維肉腫は極めて稀な疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.