抄録
腹膜中皮腫は胸膜中皮腫よりも症例数が少なく,治療法も確立していない予後不良の疾患である.今回,われわれはイレウスのため手術となった腹膜中皮腫の1例を経験したので報告する.
症例は61歳男性,23年前のアスベスト被曝歴があった.腹痛を機に受診し,各種検査にて横行結腸の閉塞性イレウスおよび脾腫瘤を認めた.確定診断に至らずイレウス解除のため開腹手術を施行したところ,横行結腸と小腸の一部が一塊となり狭窄,また胃壁や大網に小結節が散見された.結腸,小腸の部分切除術を施行した.病理診断は結腸,小腸,胃壁および大網のいずれも異型細胞の増生を認め,カルレチニン免疫染色陽性,CEA陰性等の結果から腹膜中皮腫と診断された.
腹膜中皮腫は根治的手術は困難で,化学療法を施行されることが多いが,治療法は確立しておらず予後不良である.今後,中皮腫は増加傾向が予想され,早急な症例の集積と集学的治療の検討が必要である.