抄録
原発性腹膜腺扁平上皮癌の症例を経験したので報告する.本症例において,手術前精査により,原発巣を指摘し得なかった.
腹水細胞診で,腺癌診断の後,試験開腹術の結果,腹膜に多発性腫瘤結節を認めた.病理組織学所見で,未分化な異型性の強い核を有する腫瘍細胞を認めた.免疫組織化学的検討の結果,腫瘍細胞で上皮性マーカーであるKeratin,epithelial membrane antigen,CA19-9,calretinin,CAM5.2が陽性であった.さらに,扁平上皮への分化を示す34βE12,CK5/6も陽性であった.以上より,原発性腹膜腺扁平上皮癌と診断された.手術後,paclitaxel,carboplatinによる癌化学療法を施行も,術後275日に死亡する.原発性腹膜腺扁平上皮癌は,極めて稀な疾患であり,本症例の画像診断,病理組織学的所見,治療経過に関して文献的考察を加えて報告する.