日本臨床外科学会雑誌
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症例
偶然発見された条虫を術前に駆虫し根治切除を施行した上行結腸癌の1例
八幡 和憲種村 廣巳大下 裕夫足立 尊仁山田 誠波頭 経明
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キーワード: 条虫, 大腸癌, 術前
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2013 年 74 巻 2 号 p. 473-477

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抄録

症例は74歳女性,海外渡航歴無し.腹痛,便秘にて前医受診し,下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性2型の腫瘍を認め,生検にて中分化型腺癌と診断された.この検査時,腫瘍より口側の上行結腸内に白色扁平な紐状物を発見し,条虫と思われた.手術目的に当科に紹介受診,術前に条虫を駆除する必要があると判断し,透視下にガストログラフィン300mlを十二指腸内に注入して約3m長の虫体を生きたまま排泄・駆除した.頭節まで完全に排泄されていることを確認し,頭節や虫卵の形態等から日本海裂頭条虫と思われた.その後,結腸右半切除,D3リンパ節郭清術を施行した.術後最終診断はtub2,SS,N3,H0,P0,M0,stage IIIbだった.経過は良好で,術後14日目に退院した.消化器手術の術前に腸管条虫症を認めた際は確実な駆虫後に手術を施行することが重要であると思われた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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