抄録
膵臓の癌肉腫は,癌腫と肉腫成分の2つの悪性成分から構成された極めて稀な腫瘍である.症例は83歳の女性.虚血性腸炎のために施行した腹部CT検査にて,膵体部の腫瘤を指摘された.画像所見,血液検査より膵癌が疑われ膵体尾部切除術を施行した.病理組織検査では,腫瘍組織に腺癌,肉腫,神経内分泌腫瘍の異なる3成分が認められた.これらの3成分には移行像があり,また,同じK-ras遺伝子変異を有していたため,肉腫,神経内分泌腫瘍への分化を伴う腺癌と診断した.術後1カ月後に肝多発転移再発,10カ月後に原病死し,剖検を行った.膵臓に再発の所見はなく,肝臓に腺癌と神経内分泌腫瘍の転移が認められた.本症例は癌肉腫に相当する腫瘍であり,膵臓の癌肉腫の組織発生を考える上で貴重な症例と思われた.