抄録
症例は53歳,女性.1年前に検診時に卵巣腫瘍を指摘されていたが,放置していた.腹痛を契機に近医で精査を受け卵巣腫瘍を疑われ,当院婦人科に紹介された.CT検査,経腟エコー検査で10cmを超える嚢胞性腫瘤を認め,右卵巣腫瘍と診断され手術となった.片側附属器切除予定で開腹したが,両側卵巣は正常で,回腸末端の小腸間膜に腫瘤がみられたため,癒着していた虫垂,回腸とともに切除した.術後病理検査では腸間膜血腫の診断で,腹部外傷,血液疾患,抗凝固薬内服などの既往はなく,特発性腸間膜血腫と診断した.発症から長期間経過しており,骨盤内に存在したため嚢胞性卵巣腫瘍との鑑別が困難であったと考えられた.特発性腸間膜血腫はまれではあるが骨盤内嚢胞性病変の鑑別診断の1つに含まれるべきであると思われた.