抄録
症例は73歳,女性.既往歴は高血圧,心房細動で抗凝固薬内服中.排便後に気分不良を訴え,近医にショック状態で救急搬送された.造影CTで腹腔内出血と右胃大網動脈瘤を指摘され,当院に紹介された.来院時,意識清明.四肢末梢湿潤あり,脈拍119回/分,血圧107/81mmHg.血管造影では右胃大網動脈末梢に文節状に径14.5mm,径11.8mmの動脈瘤を認めた.動脈瘤遠位部および動脈瘤内,近位部を,それぞれ金属コイルを用いて塞栓した.腹腔動脈領域,上腸間膜動脈領域には他の動脈瘤を認めなかった.翌日から食事および抗凝固薬を開始したが,症状や貧血進行などを認めず,第6病日に自宅退院した.胃大網動脈瘤は腹部内臓動脈瘤の中でも頻度の低い疾患である.出血性ショックを呈し,動脈塞栓術が有用であった右胃大網動脈瘤破裂の1例を経験したので報告し,その治療法について議論する.