抄録
症例は77歳,男性.2013年5月上旬に下腹部痛があり,翌日に当院救急外来を受診した.来院時状態は安定しており,臍部から下腹部に圧痛・反跳痛を認めたが,筋性防御はなかった.胃十二指腸潰瘍の既往はなかった.CTでは少量のfree airが上腹部から臍下部まで広範囲に認められたが,穿孔部位の特定は困難であった.部位不明ながら上部消化管穿孔を疑い腹腔鏡下に検索したところ,Treitz靱帯から約20cmの上部空腸に憩室穿孔を認めたため,空腸部分切除および腹腔内洗浄ドレナージを行った.病理組織所見では仮性憩室の穿孔であった.消化管穿孔の原因部位が特定できない場合には,腹腔鏡下に検索を行い原因に合わせて術式を選択することも有用であり,選択枝の一つと考えられる.また,空腸憩室穿孔はまれであり術前診断が困難であるが,消化管穿孔の原因の一つとして念頭に置く必要がある.