抄録
デスモイド腫瘍は軟部組織に発生する稀な腫瘍である.今回,横行結腸漿膜原発の孤発性デスモイド腫瘍を経験したので報告する.症例は61歳,男性.胃癌術後の腹部造影CT検査で横行結腸近傍に腫瘤を指摘された.6カ月の経過観察で腫瘍は18mmから63mmへと増大傾向にあったため手術の方針となった.開腹所見では,腫瘍は横行結腸から細い茎を介して連続しており,横行結腸と腫瘍を一塊に切除した.免疫組織学的染色で腫瘍はデスモイド腫瘍と診断された.また,結腸漿膜から腸管壁外に向かって発育しており結腸漿膜原発と考えられた.孤発性のデスモイド腫瘍は少なく,腸管漿膜原発は本邦で初の報告となる.デスモイド腫瘍の治療は基本的に外科的切除であるが,顕微鏡的に切除断端陰性でも局所再発する確率が高いと報告されており,術前にデスモイド腫瘍が鑑別の上位に挙がった場合は,十分な切除範囲を確保した術式を考慮するべきであると考えられた.