抄録
症例:83歳,男性.主訴:右側胸部痛.現病歴:二階から転落,当院に救急搬送された.入院時現症:血圧64/58mmHg,脈拍74回/分.右季肋部に限局した反跳痛,軽度の筋性防御が認められた.血液生化学所見:Hb 9.1g/dl.明らかな肝機能異常,胆道系酵素の上昇なし.超音波所見:胆嚢は腫大,壁は層状に肥厚し浮腫状,胆嚢内部は鏡面形成が認められた.腹部CT:腹水なく,壁は低信号で肥厚していた.鈍的外傷による胆嚢損傷が疑われ,緊急試験開腹術が施行された.手術所見:少量の漿液性腹水あり.胆嚢漿膜に損傷なく,胆嚢から肝十二指腸間膜まで漿膜は浮腫状で緑色調,一部暗赤色であった.胆嚢摘出術が施行された.切除標本:胆嚢肝床部の粘膜に約2cmの裂創が認められた.病理検査所見:肝床側底部の粘膜および筋層の断裂と漿膜下血腫が認められた.底部から頸部方向への急激な牽引・伸展による粘膜の裂創と推察された.