2014 年 75 巻 8 号 p. 2079-2085
小児急性腹症の診断に対するMDCTの有用性と限界を明らかにするために,当院にて小児の急性腹痛に対してMDCTを施行した235例のMDCT所見と病歴を調査した.正診例は急性虫垂炎(120例中104例),腸重積症(5例中4例),機械的イレウス(4例中3例)を含む12疾患の計161例(68.5%)であった.一方,誤診例は74例(31.5%)あり,その内17例の診断は緊急手術の所見によって訂正されていた.MDCTは,腫大した虫垂とその周囲の炎症範囲,腸重積症の部位と腸管壁の肥厚,イレウスの閉塞部位と拡張した腸管の範囲などを把握することには優れているが,虫垂壁の穿孔やイレウスの原因になる索状物および血流障害が軽度な腸管の絞扼を検出することには限界が認められた.