2025 年 49 巻 3 号 p. 615-626
本研究では,法科大学院の反転授業において予習動画の積極的な視聴に関わる要因を探索的に検討した.法学未修者コースの学生を対象としたアンケート調査とインタビュー調査によって,「深い学習アプローチ」「小テスト」「視覚と聴覚」「スライド」「自由視聴」「基礎知識」「判例の背景」「仕組み」「口頭試問」「期末試験」の10要因が見いだされた.これらは,いずれも授業デザインと関係していると考えられることから,反転授業において予習動画の視聴を促進するには,動画教材についての検討だけでなく,授業全体のデザインを総合的に検討する必要性が示唆された.また,法学教育特有の要因としては,学生は予習動画で「判例の背景」が説明されることにメリットを感じていること,「口頭試問」が予習動画の再視聴を促し,知識の内化と外化の往還の機会を増やしていることが確認された.