日本臨床外科学会雑誌
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症例
下部胆管原発mixed adenoneuroendocrine carcinomaの1例
赤羽 慎太郎福田 三郎田澤 宏文先本 秀人江藤 高陽西田 俊博
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2015 年 76 巻 10 号 p. 2516-2523

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抄録

症例は61歳,男性.検診で肝機能異常を指摘され,当院を紹介受診.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認めた.造影CTで胆管拡張と,膵鉤部に境界不明瞭な28mm大の腫瘍性病変を認めた.乳頭部の生検で高分化腺癌であり,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術,D2郭清を施行.病理所見では腺癌が30%程度,内分泌癌が70%程度を占めており,mixed adenoneuroendocrine carcinoma(以下,MANEC)と診断した.経過は良好で,術後34日目で退院.術後補助化学療法としてCPT-11/CDDPを開始し,術後10カ月で再発徴候は認めていない.MANECは早期の段階から肝転移やリンパ節転移を認め,予後不良とされるが,胆管に発生したMANECについては報告例が少なく,術後治療には確立されたものはないのが現状である.今回,下部胆管に発生したMANECの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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