目的:急性虫垂炎に対する保存的治療後の経過や再燃危険因子を明確にし,待機的虫垂切除術の適応ついて検討した.方法:2008年から2013年までに当院で保存的治療を行った急性虫垂炎114例を追跡調査し,再燃群と非再燃群に分け比較・検討した.結果:追跡調査が可能であった112例中,2例(2%)は待機的虫垂切除術が施行され,残りの34例(30%,再燃群)で再燃を認めたが,76例(68%,非再燃群)では再燃を認めなかった.最終的に手術を要したのは27例(24%)であった.虫垂径10mm以上の症例の割合は,再燃群で62%であり,非再燃群の35%に比べて,有意に高率であった(P=0.003).待機的手術は全11例が腹腔鏡下手術で行われ,開腹移行や術後合併症は認めなかった.結語:虫垂径10mm以上の腫大を認める症例では保存的治療後の再燃率が高いため,待機的虫垂切除術を行うことも考慮する必要があると考えられる.