2015 年 76 巻 12 号 p. 2874-2879
目的:乳房温存手術切除標本における病理学的断端-腫瘍間距離を測定し,乳腺切除範囲の決定におけるCT-RVSの有用性を検討した.対象:乳房温存手術症例のうち,RVS導入前の50例(US群),RVS導入後の50例(RVS群)を対象とした.方法:US群,RVS群それぞれ病変部から2cmのマージンを加えて切除範囲とした.結果:断端-腫瘍間距離はUS群15.7±6.4mm,RVS群20.8±7.5mm (p=0.0003),断端陽性例はUS群8例(16%),RVS群4例(8%)であった.両群とも断端陽性例は乳管内進展やDCISなどの乳管内成分で同定困難な病変であった.結論:設定マージンとの誤差はUS群-4.3±6.4mm,RVS群0.8±7.5mmとRVS群で精度が向上,断端陽性例も減少傾向であり,乳房温存手術における切除範囲の決定にCT-RVSが有用であることが示唆された.