2015 年 76 巻 12 号 p. 2903-2908
症例は80歳の閉経後女性.両側乳管内乳頭腫の診断で経過観察中に増大傾向を認め精査となった.造影MRIで右乳腺腫瘍は充実性部分の評価が困難で,左乳腺腫瘍は不整で悪性の造影パターンであった.US・造影MRI所見で両側ともに悪性が疑われたが,超音波造影剤Sonazoid®による造影エコーで右乳腺腫瘍は嚢胞内に均一な造影効果を伴う充実性部分を同定でき,左乳腺腫瘍は腫瘤内に限局して均一な造影を認め,良性が示唆された.術前針生検では良性との診断で両側腫瘍摘出術を施行し,病理結果は両側ともに乳管内乳頭腫と診断された.
術前診断としてUSや造影MRIで評価困難であった乳管内乳頭腫症例に対し,造影エコーが有効であった症例を経験したため,文献的考察を含め報告する.