抄録
症例は86歳,女性.52歳時に左乳癌に対する乳房全摘術を受け経過観察中であった.84歳時に右乳房腫瘤を指摘され,2年後に6cm大の皮膚発赤を伴う腫瘤を自覚し精査となった.術前針生検で非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ)と診断されたが,臨床・画像所見より浸潤癌成分の存在と,腋窩リンパ節転移が強く疑われたため,右乳癌cT4bN3M0,cStage IIICの診断となり,右乳房全摘出術および腋窩リンパ節郭清を行った.術後の最終病理組織診断は黄色肉芽腫性炎症を伴う非浸潤癌成分優位の微小浸潤癌であり,腋窩リンパ節に転移を認めず,pT1miN0M0,pStage IAと判定された.黄色肉芽腫性炎症は乳腺では稀である.今回われわれは,黄色肉芽腫性乳腺炎を伴い術前病期診断が困難であった乳癌症例を経験したので報告する.