日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下修復術を施行した開心術後の剣状突起下瘢痕ヘルニアの1例
山口 拓也戸口 景介外山 和隆冨岡 百合子石田 ゆみ今井 稔
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2015 年 76 巻 3 号 p. 637-641

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抄録

症例は73歳,女性.上腹部の膨隆を主訴に当科を受診.既往歴として,前年(2012年)に大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術と冠動脈バイパス術を施行されていた.このとき胸骨正中切開を行っており,同時に上腹部の白線も一部切開されている.腹部CT所見でも矢状断で二つに分かれた剣状突起の下から,白線の消失と,脂肪組織の膨隆脱出を認める.このため,剣状突起下瘢痕ヘルニア(subxiphoid incisional hernia,以下SIHと略記)と診断した.今回は腹腔鏡下に腹腔内からメッシュを展開,修復術を施行した.術後合併症はなく,疼痛コントロールもNSAIDsで可能であった.7日目に退院.腹腔鏡下に修復する場合のメリットとしては,創が小さいこと,さらに腹腔内からヘルニア門の観察が十分に行えること,腹部外科医にとって解剖学的な理解が容易であることがあげられる.SIHに対する腹腔鏡下手術を経験したので報告する.

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