2015 年 76 巻 6 号 p. 1378-1382
症例は77歳,女性.上腹部痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した.上部消化管造影検査および注腸検査ではTreitz靱帯の形成がなく,十二指腸から小腸は右側,結腸は左側を走行し,腹部造影CT検査では小腸が上腸間膜動脈を中心に回転するwhirl-like patternを認めた.また,十二指腸から空腸への移行部付近に閉塞部位を認めた.腸回転異常症,中腸軸捻を伴う十二指腸閉塞症と診断した.腸管の血流障害はなく,絞扼性イレウスの所見を認めなかったため,待機的に腹腔鏡下Ladd手術を施行した.術後は症状の再燃なく経過している.成人発症の腸回転異常症はまれで,症状も様々なため,症例ごとに腹腔鏡手術の適応を判断すべきと考える.