抄録
症例は64歳,男性.右下腹部痛を主訴に受診した.腹部エコー,造影CTで横隔膜に接する直径3cmの肝腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査でS状結腸に進行癌を認め,同時性肝転移と術前診断した.開腹所見では,腫瘤の主座は横隔膜にあり,右下横隔動脈から栄養されていた.肝臓と強く固着しており,肝合併横隔膜部分切除およびS状結腸切除+D3リンパ節郭清を行った.横隔膜腫瘤の免疫染色検査では,CEA・hepatocyte・TTF-1が陰性,CK5/6・EMA・D-2-40・calretininが陽性であり,腹膜中皮腫と最終診断した.限局性腹膜中皮腫は富血性腫瘍で,血管造影やCT-Angiographyなどで栄養血管の同定が補助診断になると考えられた.また,血清CA125値やCA125の免疫染色が補助診断や再発の指標となる可能性が示唆された.