日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
直腸癌術後の縫合不全を契機に発症した感染性仮性動脈瘤の1例
山下 万平藤田 文彦虎島 泰洋井上 悠介黒木 保江口 晋
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 7 号 p. 1747-1751

詳細
抄録

40代,女性.血便と臀部痛を主訴に来院し,下部直腸癌(cStage IIIb)と診断され,腹腔鏡下超低位前方切除術,および両側側方リンパ節郭清術を施行した.術後第2病日から経口栄養剤を開始したが,腹痛と発熱,ドレーン排液の混濁を認め,縫合不全の診断にて腹腔洗浄ドレナージおよび横行結腸人工肛門造設術を施行した.再手術後4日目にドレーンから血性排液があったため,腹部造影CTを施行したところ,骨盤腔内に仮性動脈瘤を認めた.血管造影にて,内腸骨動脈領域に仮性動脈瘤を認め,塞栓術を施行した.その後徐々に回復し,初回手術から40日目に退院した.側方リンパ節郭清を伴う直腸癌手術では,縫合不全に伴う感染を伴った場合,仮性動脈瘤形成の可能性があることを念頭に置く必要がある.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top