2015 年 76 巻 7 号 p. 1747-1751
40代,女性.血便と臀部痛を主訴に来院し,下部直腸癌(cStage IIIb)と診断され,腹腔鏡下超低位前方切除術,および両側側方リンパ節郭清術を施行した.術後第2病日から経口栄養剤を開始したが,腹痛と発熱,ドレーン排液の混濁を認め,縫合不全の診断にて腹腔洗浄ドレナージおよび横行結腸人工肛門造設術を施行した.再手術後4日目にドレーンから血性排液があったため,腹部造影CTを施行したところ,骨盤腔内に仮性動脈瘤を認めた.血管造影にて,内腸骨動脈領域に仮性動脈瘤を認め,塞栓術を施行した.その後徐々に回復し,初回手術から40日目に退院した.側方リンパ節郭清を伴う直腸癌手術では,縫合不全に伴う感染を伴った場合,仮性動脈瘤形成の可能性があることを念頭に置く必要がある.