抄録
小腸癌を契機に診断されたLynch症候群の2例を報告する.症例1:76歳,男性.15年前に多発大腸癌に対し手術既往があった.食欲不振を主訴に来院し,精査で近医空腸の小腸癌と診断した.小腸部分切除術を施行し,病理組織診断で原発性小腸癌と診断した.症例2:69歳,女性.20年前に上行結腸癌に対し手術既往があった.便潜血陽性を指摘され,精査で前回手術の吻合部近傍の横行結腸癌と診断した.手術中,回腸末端と空腸にも腫瘍を認め,小腸部分切除術を追加した.病理診断で小腸病変は腺癌であった.2症例ともに改訂ベセスダガイドラインを満たすためMicrosatellite Instability検査を行ったところ,どちらもMSI-Highと判定され,臨床的にLynch症候群と診断した.Lynch症候群関連小腸癌は比較的まれであるが,原因不明の腹部症状や貧血を認める際には小腸癌を念頭に置く必要があると考えられた.