日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵体尾部脂肪置換を伴った膵胆管合流異常の1例
水野 均畑中 信良森本 芳和平尾 隆文山崎 芳郎
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1229-1235

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抄録

症例は44歳,男性.2007年6月より右季肋部痛を自覚し,近医にて胆石症と診断され当院を受診.2003年頃より胆嚢結石を指摘されていたが,症状は認めず.肝胆道系酵素ならびに腫瘍マーカーは正常範囲であったが,膵内・外分泌機能に異常を認めた.画像検査は膵胆管合流異常を伴う胆嚢結石,総胆管結石および膵石を示し,下部胆管に狭窄を伴った腫瘍像を描出した.MRI所見では,膵体尾部の実質が広汎に脂肪置換しており,血管造影所見は背側膵動脈を描出した.膵体尾部の脂肪置換を伴った膵胆管合流異常に起因する膵石,総胆管結石症ならびに胆管腫瘍疑いに対し開腹術を施行した.術中胆道内視鏡および病理検査にて悪性所見を認めなかったため,膵切除は行わず.膵石および総胆管結石を除去後,総胆管切除と肝管空腸吻合術を施行した.術後の膵内・外分泌機能はともに改善し,術後8年が経過し腹部症状なく,良好に経過している.

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